巡り会ったタムナスと名乗るフォーンから、家に来ないかと誘われるルーシー。
おもてなしの料理として、瀬田貞治先生は「小イワシ」の油漬けと訳していましたが、これはいわゆる「オイル・サーディン」(土屋京子訳)のことで、わたしは最初なんのことかさっぱり見当もつきませんでした。
小イワシというのは、広島独自の言い回しのようです。瀬田貞治先生って、広島人なのか。あまり経歴を知らなかったり。
原典をあたったことがあります。これにはしっかり、オイル・サーディンと書いてありました。訳をするって、難しい。
このあとエドマンドもこのナルニアに来て、ナルニアの永久支配をもくろむ魔女から「プリン」をもらうことになるんですが、本来は「ターキッシュ・ディライト」というクリスマスのお菓子で、めちゃ甘くてあまりおいしくないそうです。どんなものなのか、ネット検索してみてください。
外国モノは、誤訳や意訳がいろいろあって、解釈が楽しいといえます。原典を手に取ることがあったなら、一度はナルニア国物語を読んでみて欲しいです。
それと、読むほうも、いろいろ教養が必要になるのが外国の本でして。
さきに言ったギリシャ神話のフォーンも、あとで出てくる木の精やバッカスなども、素養がないとわかりにくい。
その上に、方言を標準語と思ってしまうワナもあったりしますから、訳ってほんっと、たいへんだなーと思います。一人でやるのは危険かもしれません。
しかもこのフォーン。のっけから、イヴの娘さんですか、なんて問いかける。
聖書的な表現をするギリシャ神話のキャラクターです。
オリジナリティたっぷり。ちょっと間抜けて聞こえるところも、キャラクターとして立っています。