あすにゃんの やっぱり『ナルニア』!!!!

『ナルニア国物語』にまつわるあれこれです。

08 『ライオンと魔女』021 事情を聞く(人間とはなにか)

 タムナスさんが、白い魔女に捕らえられて石に変えられているかもしれない、という話から、アスランの正体(ライオン)、人間がナルニアの王座に就くことなどが判明するんです。その際、ビーバーさんは含蓄のあることばを告げます。

 

「何しろ人間になろうとして人間になれずにいる者や、かつて人間だったけれどもはや人間ではなくなった者や、人間であるはずなのに人間でない者に接するときは、よく用心して武器から手を放さないことです」

 


 このセリフを見たとき、幼いわたしは考えました。
 ――人間とはなんだろう。


 見かけは人間でも、性格は野獣のような人間はいくらでもいるのです。欲望を剥き出しにして襲いかかり、身ぐるみはいで暴力を振るい、ニュースになる人もいる。あれだって一応は人間で、法律で人権があるとされています。


 ナルニアの階層は、こういう順番です。アスランは百獣の王、その下に人間がいて、もの言う動物たちがその下にいて、その下が普通の動物たち。

 

 ナルニアにやってくる人間が、いわゆる「人間」であるかどうか、なぜビーバーにわかるでしょうか。アダムの息子、イブの娘だというだけで信頼してるのは、動物らしい軽率さから来るのではないのでしょうか。


  その危惧は当たっていました。話がひと通り終わった途端、エドマンドがその場を抜け出してしまったのです。彼が裏切ったことを、きょうだいはみな知ることになるのでした。


  ビーバーさんから見れば、エドは「かつて人間だったけれど今はそうではなくなった者」に属することになるのでしょうか。エド派としては、気になる先行きです。