あすにゃんの やっぱり『ナルニア』!!!!

『ナルニア国物語』にまつわるあれこれです。

11 『ライオンと魔女』026☆☆☆エドの変化(救われるために)

 エドは苦労して魔女の館にたどり着いたのに、帰ってきたのは冷淡な扱いでした。
 ひからびたパンに水を与えられただけだったのです。
 たいがいの小説は、苦労したらそのぶん報われるのがセオリーなのですが、このファンタジーはそう甘くない。せっかく情報を手にやってきたエドに、魔女は冷たい扱いをするのでした。人間的な面がまったくない魔女だからこそ、そういう扱いをするのでしょうね。


 ナルニアに住む動物たちや木々のなかに、魔女に味方する連中がいるんですが、たとえばタムナスさんも「魔女に仕えていた」と言っていました。こんな冷たい残酷な女が、報酬を与えるとは思えないけど、恐怖で従っていた。

 

 北朝鮮でも同じように、恐怖支配がされているそうです。でもね、人は恐怖ばかり与えられていたら、気力を失い、生きていくことができなくなります。反発し、反乱を起こす人だって出るでしょう。支配には飴と鞭が肝要です(笑)

 

 冷酷な魔女は、途中で出会った動物たちのパーティを石化してしまいます。そのときエドは、魔女を止めようとするのです。
 この時初めてエドは、他人に対して哀れみを感じた、と書いてありました。


 自分がぞんざいに扱われていることへの怒り、そして幸せなパーティをぶち壊しにした魔女への憎しみを感じていたことよりも、他人への哀れみがあった。それこそが、この物語での大切な変化です。自分もまた石化されるかも、という恐怖もあったでしょうが、いままでルーシーをいじめてばかりいたエドが、虐げられることで気づいた自分の変化。
 どんな人間にも、救われるところはあるのです。