あすにゃんの やっぱり『ナルニア』!!!!

『ナルニア国物語』にまつわるあれこれです。

11『ライオンと魔女』ナルニアの変化(『津軽』との比較)

 エドの氷のような心が変化するのと同時ぐらいに、ナルニアにも春の気配が忍び寄ってきます。あちこちに川が流れ始め、ヒメリュウキンカスノードロップサクラソウなどといったイギリス北部の春の花が咲き誇り始めます。


 このあたりは、日本の季節の花と比較すると面白いかも知れません。太宰治の『津軽』には、津軽の春の花として、さまざまな花を紹介しています。


 鶯が鳴いてゐる。スミレ、タンポポ、野菊、ツツジ、白ウツギ、アケビ、野バラ、それから、私の知らない花が、山路の両側の芝生に明るく咲いてゐる。背の低い柳、カシハも新芽を出して、さうして山を登つて行くにつれて、笹がたいへん多くなつた。


 この記事と、『ライオンと魔女』の描写を比べると、C.S.ルイスのほうが名前以上の情報が入っている。

 もちろん太宰治の『津軽』とは、ジャンルが違いますから、比べることは間違ってるのかもしれませんが、どっちを比べるにせよ、長い冬を越えていく木や花たちのたくましさは、リアルに感じることができるのです。


 白い魔女が『冬将軍』で、アスランは『春一番』だということも出来るかも。
 ナルニアは、C.S.ルイスにとっては、理想化されたイギリス北部、かもしれないですが、いかにも中世西洋風異世界ファンタジーの面目躍如です。このあたりの変化は、セカイ系の話と言えるかもしれませんが……。


 主人公の変化とセカイが繋がっているという物語の設定は、皇子の変化とセカイが関係している『精霊の守り人』シリーズでもありました。面白い話って、類似することがあるんですね。