この『ナルニア国ものがたり』は、ほとんど血みどろの戦いは出てきませんが、この章に限って言えば、ピーターがオオカミと戦ってこれと勝利する話が出てきます。
ほんの子どもが、剣を取って戦い、敵に勝利する。
ありそうにない話ですが、描写がしっかりしていて、不自然さがないんですよね。
あるいはサンタクロースからもらった剣に魔法がかかっていたのかも?
とか勘ぐりたくなるような活躍をピーターがしますが、その直前にアスランから、ナルニアの上級王としてケア・パラベルを紹介されて、自覚があったかも知れません。
わたしがこの研究を始めたとき、このピーターの戦いをすっかり忘れていて、戦闘がないのがこのファンタジーのいいところだと思ってそう書いた記憶があります。でもしっかり、血なまぐさい戦闘シーンはありましたね(汗) でも、軽く書いてあるので、まるでラノベのシーンを読んでいるようです。
ピーターの初戦は、角笛の音で始まりました。このことは、あとになっても伏線として効いています(『カスピアン王子のつのぶえ』で角笛が使われているからです)。戦闘シーンが好きじゃないので読み飛ばしていたのですが、研究のために詳細に読んでみると、細かいところで伏線が効いたストーリーがこのシリーズにはあちこちちりばめられていて、C.S.ルイスは天才だと驚いてしまいます。
本を読むヒマがなくて、飛ばし読みする人だったわたしでしたが、このことを知ってからは、良質な本を丁寧に読む習慣をつけようとしています。自分の悪い習慣である飛ばし読みというオオカミを、ピーターがやっつけたみたいな気分です。