帰ってきたルーシーとエドマンドは、ナルニアのことを再び兄と姉に話しますが、ここでエドマンドが裏切り、ごっこ遊びをしていたと言い出します。
そのためピーターもスーザンも心を痛め、ルーシーの頭がどうにかなったに違いないと、カーク教授に全てを打ち明けます。
するとカーク教授は、論理学を持ち出してきて、ルーシーの話は信じられる、と証明してしまいます。
この、『論理学』という言葉が、小学四年生のわたしには衝撃的でした。
それまでわたしは、お話というものをマトモにとりあったことがなかったんです。だって読んでるのがほとんど洋物ですよ? 外国人の話を読んで、「ほんとうのことだ」と思えというほうがムリってもんです。
ルーシーの苦境も、(ルーシーがいい子すぎるせいもあって)それほど身近じゃなかったんですが、カーク教授が『論理学』を口にしたとたん、ナルニアがまるで実在する国のように感じられてきたのです。
いままで、夢物語に論理学を持ち出した小説を読んだことがあったでしょうか。珍しい話だ、新しい話だ。(時代は古いけど!)この話、もっと真剣に向き合った方がいいんじゃないだろうか。
中学1年のときに『シャーロック・ホームズ』を読む機会がありましたが、カーク教授の論理の組み立て方が、ホームズと似ている(いや、話は逆で、ホームズのほうが時代は古い)ことに気づいて、ドキドキしたことを覚えています。
○○は、××ではありえない。
△△も、××ではありえない。
故に、◎◎は、○○である。
論理は苦手ですが、今でもこのシーンは、わたしには新奇なお話です。