冬のナルニアに入り込んだピーターたちは、スーザンが「この衣装だんすの毛皮を借りましょう」という案に賛成します
(持ち出すわけじゃないという理屈は笑える)。
そして、エドマンドはドジな失敗をします。ごっこ遊びをしていたと主張していたのに、ここを知っていると口走るんですね。
「街灯のところへ行きたいなら、こっちがいいよ」
それを聞いて、みんなは凍り付きます。
だからエドマンドには目が離せません。次になにをしでかすか、予測が付かないからです。ルーシーは、典型的ないい子なので、だいたい行動パターンは読めますが、エドマンドはそうはいかない。悪というのはさまざまな形を取ります。魅力的な悪というのは、それだけで読ませますね。
ピーターは、エドマンドのことばを聞いてキレてしまいます。やっぱりここに来たことがあったのか。そして厳しい態度を取ります。
エドマンドにも、言い分はあるでしょうに、悪いことをした、という理由で怒り狂うとは、ピーターも寛容ではありません。ルーシーが好きなのはわかるけど、ひいきしてるかもしれない。もしかしたら、ふだんからこの兄弟は、仲が悪いのかも。
ピーターが寛容でないとしたら、スーザンは臆病です。なにかというと帰りたいと口走る。でも、帰り道がわからないし、ルーシーはタムナスさんを助けなきゃと主張する。
大人の手をかりずに、悪と立ち向かうことを決意するピーターは、寛容でないにしても立派です。このあたりのキャラクターの描き方が秀逸で、このシリーズはわたしにとっては、何度読んでも学ぶことが多いのです。